運動の場面において「力を合わせる」という言葉をよく使います。
しかしながら、「力を合わせる」ということを正しく理解できていないこどもが増えています。
特に教育の中では、体育活動やスポーツの場面で求められることが多いのですが、このことを通して「思いやり」や「やさしさ」「友の大切さ」を感じることに大きな意義があるのです。
ラグビーの合言葉、
ONE FOR ALL , ALL FOR ONEひとりはみんなのために、みんなはひとりのために
の精神です。
自分を高め、さらには友と力を合わせて、高いものを目指すところに「力を合わせる」ということの意義があり、ただ単に助け合うという意味だけではないのです。
やさしさ、思いやりとは、自分を律することのできる者こそが真のやさしさをもち、「力を合わせる」ことの尊さを感じるのだと私は考えています。
まさしく運動によって学ぶべきものがここにあるのではないかと言えます。
ではこどもにとって、自分を律するということはどういうことなのか、ということです。
こどもはいろいろな経験ときっかけの中から、「もっとこうしたい」「もっとあんな風になりたい」と思えるようになっていきます。
まさしく憧れや夢です。
そして、そのためには自分はどうあるべきなのか、何をすべきなのか、を自然と考えます。
実行に移すために必要な、正しい自己変革そのものが、「自分を律する」ということになるのでしょう。
大人は憧れや夢が持てる環境を整えて導くことが大切であり、それに対して、アクションを起こすのはこどもであり、その乗り越えるべきものを乗り越えていくのもこども自身なのです。
大人はすぐに助け舟を出さず、ただ、見守り、励まし、ともに喜び、ともに残念がり、時としてあたたかく抱きしめてやる。
そんな付かず、離れずの距離感が、さらにこどもが自らを律することに繋がっていきます。
そんな経験をすることで、ただ単に助け合うだけではない「力を合わせる」ことの本当の意味が理解できるのだと考えています。