日課体育と課題体育
ナカムラチャイルドスポーツでおこなっている毎日行う体育ローテーションなどの体育活動は、大きく分けて日課活動と課題活動で構成されています。その特性と、どう組み合わせてローテーションしていくかを具体的に解説しながら、それぞれの役割と効果について『体育』の分野からお話ししたいと思います。
日課体育とは
毎日、繰り返し実施される体育活動、すなわち『体育ローテーション』が大きなところと言えるでしょう。その他に、朝礼時に行われる、ランニングや、リズム体操も運動分野に入りますが、特に独立した体育活動としては『体育ローテーション』となります。
この活動は、いわば「遊び」をアレンジした体育活動です。ですから、子どもにとって楽しく、興味のあるものでないと「運動あそび」の概念から外れてしまいます。
やみくもに、「努力しなさい!」「辛抱しなさい!」「がんばりなさい!」では子どものこころが離れてしまうのは、当たり前のことで、運動嫌いをつくりかねません。もしそんな活動になってしまっているならば、大いに反省し、すぐにでも軌道修正をしていただかなければなりません。ただし、努力すること、辛抱することや、がんばることを否定するのではありません。共感・共鳴・共体験の中で保育者と子どもが、分かち合うものとして捉え、一方的に「押しつける」ものではないということなのです。その為に必要なものが、次の『課題体育』となります。
課題体育とは
- 少し努力すれば手が届きそうな明確な目標
- 心から安心(信頼)できる者の励ましと寄り添い
- 「やればできるんだ」という体験から得る達成感
以上3点があれば、活動に対する子どものモチベーションはどんどん高くなっていくでしょう。
これが「課題体育」の本質なのです。『体育レッスン』や『体育あそび』といった言葉で表されることが多いのですが、いずれにしても、これらの①・②・③の事柄が含まれる時間ということです。
気持ちよく、楽しく体育ローテーションをするために必要なこころ持ちをこの時間で育むということになります。
どう組み合わせるか
おそらく、子どもの『体育活動』を否定的に捉える方は、少ないでしょう。逆に現代の子どもにおいて、推進的な考えを持っておられる方が大半であると思います。しかしながら、この活動が、子どもの心と身体を無視した過度なものになったとするとそうではありません。(これについては、「馬力をあげる体育ローテーション①」で詳しく書いていますのでご確認ください。)
そうならない為に、日課体育と課題体育をどう組み合わせていけばよいのかということになります。このことは体育実技研修会においても、質問されることが多い事柄です。たとえば、
- Q1週に何回くらい体育レッスンすればよいのか?
- Q2一回あたり何分くらいがよいのか?
- Q3どんなレッスンをすればよいのか?
全てお答えします(あくまでも参考として捉えていただきたいと思いますが……)。
- A1週2回から3回くらいが適当だと考えますが、これに限らず、子どもたちの様子をみて、時間をとってやることも必要な場合があります。
- A2子どもの集中力等を考慮すると30分から40分くらいが適当ですが、学年によって持続時間が異なる場合もありますので20分という時間設定を考える必要があります。
- A3体育ローテーション種目の先行体験やポイントの確認、励ましや認めを各人に促す内容を中心に組み立てます。
体育活動においては、まずは、体育ローテーション(日課体育)が基本となります。何度も言いますが、体育レッスン(課題活動)は、日課の体育活動に対するモチベーションを高めるための活動であるということを再認識しておいてください。
「基本」を確実に身につける
「足腰を強くする」
これは走り方を見れば一目瞭然です。マラソンと短距離走とでは、根本的に走り方が違います。持続的な走力より、瞬発的な走力を上げてやることを優先するとよいでしょう。それに伴い跳躍力も高くなることは確かです。体育ローテーションとは別に日課体育としてプログラムすることを考えてみてください。
「上半身の動きを高める」
走っているときに付随的に動くのが腕を中心とした上半身となります。上半身と下半身のコンビネーションを高めることにより、効率のよい走りが可能になります。走ることの他に、四ツ足動物模倣運動などで高めてください。これについては、体育ローテーションメニューとして導入を考えてください。
「走りまわる環境をつくる」
直線的に走る、ジグザグに走る、丸く走る、斜めに走るなど、色々な走り方があります。それによって、足の運びや、腕の振り、上半身の使い方がそれぞれ違うのはご理解いただけると思います。そんな発展的な走力を高めることも将来、様々なスポーツをするにあたっては重要なことです。これらの全ての走り方を網羅しているのが『鬼ごっこ』です。ワクワク、ドキドキしながら遊び感覚で走力を高める。すなわち、日課体育が目指す、一番大切な部分だといえます。
遊びも上手な子どもに
「NCSの体育活動を経験している子どもたちは、遊び方も上手だ」という声を聞くことがあります。理想的なうれしいことだと思います。もしも、あなたの園の子ども達の遊び方に疑問を持っておられる先生がいるとすれば、ぜひ、この機会に体育活動を見直してみてはいかがでしょうか。何かが見つかるかもしれません。